競争の科学
なんて知的好奇心をくすぐる本だろう?
漠然と捉えている「競争」という概念を、あらゆる方向から科学的に分析している。
「競争」のメリットは、勝利ではなくパフォーマンスの向上であると著者は説く。
(激しく同意)
競争相手との関係、遺伝子、男女の差、幼少期の環境、ポジティブとネガティブ、ホルモン、競争とイノベーション、、、何が競争に影響を与えるのか?
それらを具体例を上げて分かり易く説明してくれている。
例えば、能力に差がある学生よりも、同じレベルの学生を集めたクラスの方が、落第者の割合が少ない(差がある場合は、自分の能力が劣っていることにストレスを感じる)とか、女性は競争のコストメリットを考え、勝てる見込みがある場合にしか競争に参加しないとか。
Linuxを産んだのはコラボレーションではなく、個々のプログラマーの競争だという話や、チーム内には競争によるヒエラルキーが必要という話は非常に面白く、ビジネスにも役に立つ。
ビジネス、政治、スポーツ、勉強等の場で、競争がパフォーマンスにどのように影響するのか?
不安やストレス、怒りがどのように競争に影響するのか?
自分自身の振る舞いを振り返って見て、それらの一つ一つを紐付けながら読み進めると、より実感がわいて理解を進めることが出来る。
特に面白かったのは、挑戦的な状況をキープするという話。
トップアスリートの多くが、怒りや復讐、憤慨などの感情を抱いているということ。
ここで言う怒りは、「特性としての怒り」ではなく、「状況的な怒り」。
これは、ただ単に絶えず怒っているのではなく、起こるべきことと起きたことの間のギャップによって誘発される、言い換えると、目的が誰かによって不当に妨害されたと感じるときに生じる怒りであり、パフォーマンスの向上に役立つコントロールされた怒り。
そうそう、頭の中で”カ〜ン!”とゴングが鳴ると、スゴイいい案を思いついたり、スゴイスピードで仕事が進んだりするんだよね(笑)
いつもいつも競争するということではなく、本当に必要な時にだけ、どのように有益な競争をするか?させるか?
色々な場面に思考が広がる一冊です。
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