2021年8月14日 (土)

両利きの経営

両利きの経営


『イノベーションのジレンマ』の方がバイブル的な扱いをされているような印象があるけど、こっちの方がより実用的で面白いかな?
「知の探索」と「知の深化」
2つの概念をバランスよく採り入れるのが両利きの経営、、、という書籍の内容は色んなところで紹介されているだろうから省略。


例えばITの世界では、ガートナー社が提唱している「バイモーダルIT」という概念がある。
モード1(守りのIT、侍)とモード2(攻めのIT、忍者)という2つの流儀の両方を柔軟に選択できるようにする必要があるというもの。


昨今ではDX=デジタルトランスフォーメーションという言葉が流行りで、ただの事務処理のシステム化も「デジタル化だ〜!」と言う人もいれば、本質的なことは何もわかってないのに、全てをモード2にすることが必要みたいなことを声高々に言う人がいる(会社の中に本当にいる・・・)


そうじゃないんだよね。


システムがサポートする業務の特性に応じて、モード1で確り守らなければならない領域もあれば、デザイン思考やアジャイルでガンガン進めていかなければならない領域もある。
それらを適切に選択して実行出来るコンピタンスを持つことが重要なんだよね。
両利きの経営も同様で、会社が全部「知の探索」をすればいいとは言ってない。


あと、人材育成の観点から言うと、知の探索とかモード2って、組織の中の宝の持ち腐れを発掘してビジネスに活かすことにも繋がると思ってる。
会社の中には、まだまだ色んな人材が眠ってると思うんだよね。

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2021年8月12日 (木)

対話型OJT

対話型OJT 主体的に動ける部下を育てる知識とスキル


昔から「長屋の子育て」というのを提唱してたんだけど、今一つスローガンにとどまってて具体的な施策がないまま、2020年の新人が配属される時にはコロナ禍で何も配慮が出来ないまま受け入れ。


その反省を活かして、2021年は事前に色々と準備。


この本にあるネットワーク型OJTでも、それぞれの役割と具体的な行動を定義して、それ以外にもいくつかの施策のヒントを得て。
それ以外にも、若手の力を借りてとにかくコミュニケーション企画を打つ。
インタビュー、交流会、ゲームと盛りだくさんにイベントを設定して、2020年よりは早く新人が馴染める環境を作れたかな?


リモートワークが当たり前となった今の時代、いかに早く職場に馴染ませて、オンラインでもコミュニケーションを円滑に取れるような環境を作るか。
コロナ前とは違う発想が必要な時代になったけど、たくさんの示唆をこの本からもらいました。

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2021年1月 4日 (月)

NO RULES

NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX


この本の楽しみ方は2通りあると思う。
1つは会社の制度や文化を作る上での参考として。
もう1つは、自分が1ユーザーとして楽しんでいるNETFLIXがどうやってこんなに面白いコンテンツを次から次へと提供しているのかの興味を満たすものとして。


多分、大半の人が最終的には後者になってしまうと思う。


例えばコントロールとコンテキストの話。
優秀ならコンテキストを共有して判断を任せる。ダメな奴はコントロールしてミスを排除する。
「ルールと手順」vs「自由と責任」も同様の話。


他にも経費承認が不要とか、上司・同僚へのフィードバックとか、面白い話が盛り沢山なのだが、そのベースにあるのは能力密度が高いというもの。
優秀な人間しか採用しない。
社内の能力密度を高める、それを維持するということが全てのベースになっているので、普通の会社では到底真似が出来ない。


最初のうちは「NETFLIXすげーすげー」と読んでいたのが、途中から「これはうちの会社では無理だな」に変わって、最後は「だからNETFLIXにはまっちゃうんだ〜」となります。


ヘビーユーザーの方は是非お読み下さい。

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2020年11月26日 (木)

コーポレート・トランスフォーメーション

コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える


『シン・ニホン』と同じように、日本を少しでもよくしよう、次の世代に明るい未来を残そうという、元気が出る系の一冊。
ただ、こちらはそれを企業にフォーカスした内容になっている。


同質的・連続的な組織集団による長期持続的な改良・改善を積み重ねることが得意だった日本企業が、その逆の相対的・流動的な時代をどう勝ち残っていくかの具体的な提言。




以前は、この手の本から学んだことを自分の仕事にどう活かすかの視点で読んでいたのだが、どちらかと言うと、これからの人生の選択肢にはどういうものがあるかという視点で読んでいる自分に気付いた。


ローカル経済圏を支える中小企業を活性化させる仕事なんて面白そう。


本を読む目的に一つに、自分を成長させるというものもあるけど、それを活かす場は会社だけじゃないなと。

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2020年8月 6日 (木)

リモートワークの達人

リモートワークの達人 (ハヤカワ文庫NF)


コロナ 禍で流行りに乗っかろうと出てくる前の本を探して見つけたもの。
2014年に出版されたものを、改題、文庫化して2020年7月に出版。


新型コロナにより、職場のスプリット運営、ラッシュ時間帯を避けた時差勤務等が始まって、これを書いている2020年8月中旬では早半年。
徐々に環境が整ってきたことに伴い、在宅勤務も普通の勤務形態になってきた。


とは言っても私が勤める会社では、ネットワーク容量やセキュリティ対応の問題により、まだまだストレスなく仕事が出来る環境にはほど遠い状況。
世の中的にもそんな会社は多いのではないだろうか。


そんな中で読んだこの本は、環境やツールの整備だけではなく、マインドを変えることの重要性をあらためて教えてくれた。
オフショアやASPサービスのように、プロジェクトやチーム単位の成果物で進捗や品質を見るだけではなく、社内では個々人の成果をアピールする機会をつくることの必要性。
意識的にメール、インスタントメッセージ、電話を使い分けること。。。私は質問したい相手が目の前にいないなんて考えられない!!という旧タイプ(笑)


特に、リモートワークを少数派にしない、というのは色々を考えさせられた。
仕事をしていても、出社しているメンバーだけで話を進めてしまい、在宅勤務メンバーを置き去りにしてしまったことがあるし、逆に、出社メンバーに問合せ等の負担が集中しているという、逆のパターンもある。
これを以下に並列にするか?


今は「密」の回避を目的にある程度の出社率コントロールをしているが、コロナ禍が去った後は、「どちらが効果的、効率的に働けるか」で出社か在宅を選択出来るようにする。
新たな勤務形態の目標が明確になりました。

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2020年7月13日 (月)

雑談の一流、二流、三流

雑談の一流、二流、三流 (アスカビジネス)


どんなテーマでもそうだけど、「雑談」という普段は無意識にやっている行為を、こうやって分解して説明出来る能力ってすごいな〜と単純に感心。


毎年、100人前後の社員と面接をするのだが、そういうことを続けて行くと、結構話を聞いたり、質問にとっさに答えたりとかは上手くなって行くものだ。
ただ、どうにも上手く出来ないのが、上司の会食の同席。
相手が饒舌な方だと、相槌打ちながら聞いていればいいのだが、なんか話を盛り上げたり膨らませたりすることが出来ない。
・・・というのがこれを読んで理由がわかった。
相手に興味がないんだ(笑)


雑談のはじめ方、話の広げ方、聞き方とリアクション、雑談の盛り上げ方、相手の懐に入る方法、好印象の残し方、雑談がうまい人の心構えの7章で、それぞれ具体的に三流の人、二流の人、そして一流の人はどうするか?と続いて行くのだが、結構、私は二流だな?というものが多い。


そんな中で、おっ!と思ったのが以下。(備忘録です)


・一流は話させ上手を目指す
・一流は相手が話したくなるように質問をする
・一流は、普段使わないような一段上の表現を使って承認する
・一流は、全力で励ます
・一流は、一人質問をする
・一流は、唯一無二のキャラとして記憶に残す
・一流は、好奇心を満たそうとする
・一流は、イマジネーションで会話に自信をつける


意識して普段話してみよう。

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2020年7月 9日 (木)

シン・ニホン

シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング)


ちょっとヤル気になる一冊。
多分、著者の安宅氏は私とほぼ同世代の方で、最近、若干萎え始めた気持ちを、もう少し頑張ってみようかな?と思い立たせてくれる。


先ず、掴みは日本の壊滅的な状況から。
このあたりの一人負けの状況は、最近色々なメディアで目にするもの。
但し、著者が言うには、技術革新や産業革命をフェーズ1〜3に分けた時に、元々この国は新しい技術(電気や蒸気機関)を生み出して来たわけではなく、フェーズ2のその技術に実用性を持たせるのが得意な国だと。
例えば、エンジン、モーター、車や電化製品といったように。
ちなみに、フェーズ3は、これらの機械や産業がつながって、航空システムやインターネットのような複雑な生態系が生まれるフェーズ。


日本はこのフェーズ2が得意なので、AI×データの世界でもまだまだ力を発揮することができる、あきらめるな!と説く。


その為にすべきこととして、意識改革、予算配分(教育や研究開発への)、地方再考と具体的な提案が続いていく。


そして最後は、「風の谷のナウシカ」的なビジョン。
AI×データや、色々なテクノロジーの力を使い倒すことによって人間を解放し、自然と共に生きる美しい未来を創る。
それが「風の谷」。


このプロジェクトの内容はワクワクします。


本の冒頭での著者の言葉。
「僕らは少しでもましになる未来を描き、バトンを次世代に渡していくべきだ。」


国という大きなスケールじゃなくても、会社でも同じことだ。

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2020年6月15日 (月)

失敗の科学

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織


認知的不協和や自己正当化等、失敗を構造的に分析するだけでも十分に面白い。


ただ、私がこの本で一番面白かったのは、それを改善していく手法の「マージナル・ゲイン」。
この言葉自体を初めて知ったのだが、ツール・ド・フランスでイギリスのチームを初めて総合優勝に導いたゼネラルマネージャが提唱した「小さな改善」というもの。


大きなゴールを小さく分解して、一つ一つ改善を積み重ねて行けば、大きく前進できる。
選手のパフォーマンス、自転車のデザイン、ユニフォーム、食事、睡眠等を全て細かくデータベース化し、少しずつ改善を加えていくというもの。


なるほど。
私にはこれが足りないんだ。


大きな問題にブチ当たった時、それを大きなまま扱うのではなく、小さく分解〜手中に収まる範囲に〜して一つずつ解決していくということは普段でもしている。


ここで言っているのは、問題解決ではなく、ゴールに向かってどうやって進んでいくかの話。


組織的な課題を抽出して、個々にその改善策を立てていくのではなく、大きなゴールと全ての小さな改善を結び付けて、例え結果的に効果がなかった改善があったとしても、気になるところは全部潰していく。


頭で考えるだけではなく、一つ一つ実践してみて、効果があったやり方を更に改善していくことの積み重ね。


時間はかかるように思えるけど、着実に成果を出してゴールに近づいていくいいヒントをもらいました。

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2020年5月 6日 (水)

BANK4.0 未来の銀行

BANK4.0 未来の銀行


あくまでも支店の延長で商品・サービスを考える日本の銀行。
通帳やキャッシュカードを使ったり、郵送や電話との組み合わせに何も疑問を持たない業務フロー。


例えば、そろそろ家が欲しいなと思った時。
住宅ローンを借りる必要があるが、自分の口座がある銀行のホームページにアクセスするのではなく、先ずはググると思う。


金融以外でも、何か欲しいものがあればAmazonで検索するし、外食するお店を探したければ食べログを見る人が多いのではないでしょうか?


では、そのAmazonで買おうとした商品がマーケットプレイスで提供されていたとすると、その出品企業がどういう企業かどこまで気にするか?
気にしたとしても、★マークがいくつ(=他の人の評価)かを見るぐらいでは?


どこかのベンチャー企業が銀行のマーケットプレイスを作ったらどうなるか?
アーキテクチャ的には、お客様→ベンチャーのモバイルアプリ→ベンチャーのマーケットプレイス→銀行のAPI→銀行の勘定系システム、となります。


ここで思うポイントが2つ。
①位置情報や行動情報、「いいね!」等のフィードバック情報等々、顧客に関するデータは全て銀行の外にあるということ。
②マーケットプレイス経由でアクセスしてきても、手続きが面倒だったら途中でやめてしまうということ。(ネットで買い物する時に代引きだとやめてしまうように、支店への来店や郵送での書類提出が求められたらやめます)


これからの世代は、「面倒だから」というレベルではなく、「意味がわからない」というレベルになる。
若い人達には、銀行取引での「書類」とか「捺印」という概念する知らない世界になる。


顧客から銀行のバックエンド事務までを、全てデジタルのみで完結することを考えもしない。




この本の中に、衝撃的な挿絵があった。
「何か新しいリスクを取る代わりに、安全にやってジリ貧で衰退して行こうじゃないか」


なんて端的な表現なんだ。

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2020年4月20日 (月)

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」


2019年7月、みずほ銀行のシステム統合が完了したというニュースを見て、そのプロジェクトに関わった膨大な数のSEの方達に対して、心からご苦労さま、お疲れさまと思った。
現場で担当している人達は本当に大変だったと思う。


一方で、過去2回の大規模障害を受けて、間接的にだが、色々と大変な思いをしたことを思い出した。


そしてこの本。
システム開発の経験がない記者が大半を占める著者陣。
外野はいくらでもなんとでも書けます。




ここまでの超大規模ではないが、かつて大規模プロジェクトのマネジメントをした時の色々な大変なことを思い出しながら読んだ。
忘れていた記憶も結構蘇ってきた。
懐かしいと思うようなものもあり、思い出したくなかったものもあり。


みずほ銀行が、新システムのアーキテクチャを最大限に活かして、面白いサービスを世に送り出してくれるとこと楽しみにしてます。

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