世界の「住所」の物語
昔、住所を扱う仕事をしていたことがある。
それは、郵便物の送付先としての住所だった。(だから郵便番号と密接に絡んだ複雑な体系で苦労した)
この本の中に出てくるのは、疫病の広がりや感染源を把握するための住所、火事や事件の際に駆けつけるための住所、その他、徴税や逮捕のように市民が目的地を探すためではなく、政府が市民を見つけるための住所といった、さまざまな目的の住所。
そして最近では住所がないと「本人」と認められない。
住所が、ただの通り名称や家屋番号ではなくアイデンティになっていて、住所がないと素性の確かな人間だと示すことができず、色々な手続きをすることも出来なくなっている。
興味深かったのは、日本の住所は世界の中でも特異で、「通り」ではなく「街区」を基本単位としているということ。
言われてみればそうなんだけど、考えたこともなかった。
その違いに伴う考察は日本人として非常に面白い。(だから京都の住所はわかりずらいのか?と思ったりもした)
住所の歴史の中では、住所をつけられることに抵抗した歴史もあれば、住所が欲しくて戦った歴史もある。
普段は何も気にせず当たり前のように使っている住所に、色々な国や地域、人種によって色々な利用目的がある。
考えたこともないような世界に連れて行ってくれる一冊です。
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