« 「5G革命」の真実 | トップページ | 「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する »

2019年9月17日 (火)

イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)


色々なところで引用されているので、内容を知っているつもりで実は読んだことがなかったシリーズ(笑)


優れた企業が、真面目に合理的な経営判断を繰り返す結果、破壊的技術に負けてしまうと言うジレンマ。
その原因は次の5つ。


①企業は既存の顧客や投資家の意向を優先する
②新規事業は小さすぎて大企業の成長ニーズを支えられない
③存在しない市場は分析出来ない
④既存事業に適したプロセスや価値基準には柔軟性がない
⑤既存の技術を高度化しても需要があるとは限らない


それぞれの詳細や具体的な事例については、入門書等が色々と出ているのでそちらに譲るとして、やっぱり原典に当たると面白いと思ったのが、組織能力の話。


組織の能力は「資源」「プロセス」「価値基準」で決まる。
私の仕事に置き換えると、資源はヒト・モノ・カネ。
プロセスは、仕事を進める上での標準やルールに加えて、コミュニケーション、協調、意思決定のパターンといったもの。
価値基準は仕事の優先順位を決める時の判断基準。


資源をコントロールするのは簡単なので、何か問題があるとヒト・カネの追加投入や担当替えを行う。
難しいのプロセスの変更。著者が言うように、組織が価値を生み出すメカニズムそのものが本質的に変化を拒んでいる。
一貫性を保つ、変更手続きが大変、既存業務用に最適化されてしまっている等々の理由により、新たな環境変化に対して柔軟に対応出来ない。


昔からある組織は、組織能力の中心が、資源からプロセスや価値基準に移っている。
過去の成功体験を元に確立されたプロセスや価値基準が組織文化を形成し、それがマネジメント上の強力な武器になるので、平時の際には有効に機能するが、変化が必要な時には、逆にそれが無能力を定義することになってしまう。


前述の通り、資源をコントロールするのは簡単なので、これで解決できる内はまだいい。
プロセスや価値基準、ひいては組織文化に問題が存在するようになると変化は難しくなる。




これには激しく同意。
頭ではわかった。
さて、どうするか?

|

« 「5G革命」の真実 | トップページ | 「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。