人工知能の哲学
人工知能関連の読んだ本の中では、格別に面白い一冊。
人間の労働全てを機械に代替させようという試みである、人工知能の研究。
では、「人工知能」とは何か?
そもそも「知能」とは何か?
「知能」の仕組みとは?
という哲学的なアプローチの中で、「意味」「理解」認識」「学習」といった概念の定義を丁寧に進めており、哲学に縁がない人にもわかり易く伝えてくれる。
モノが存在することも、モノが何色であるかということも、全て私達が「騙される」ことで見ている世界。
その世界においては、積極的に世界に働きかけることが必要であり、その為には視覚情報だけではなく、能動的な運動を必要とする、というのは人と人口知能の違いをあらわすいい例だと思う。
また、人と人工知能の大きな違いはコミュニケーションにあると著者は言う。
コミュニケーションが、「シンボル」「意図」「振る舞い」という3つのレベルによって成り立つ一方で、人口知能は「シンボル」のレベルのみを対象とするものであるというもの。このレベルではコミュニケーションを行う主体とはなり得ないのである。
この先、人工知能がどこまで発展するかはわからないが、「弱い人工知能」を使って、人間がより賢くなり、人間社会が豊かになっていくような人口知能の使い方を模索していく必要がある、という著者の考えには大きく賛成です。
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