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2017年10月11日 (水)

金融ジェロントロジー

金融ジェロントロジー

ジェロントロジー=老年学。
生命寿命と健康寿命の差を如何に縮めるか、という学問。
これに「金融」がつくと、更に、生命寿命と資産寿命を如何に縮めるか、言い換えると、健康寿命と資産寿命を如何に伸ばすか?というテーマ。


日本の65歳以上の高齢人口比率は、2016年時点で既に27%を超えていて、今の大学生が高齢者になる2060年頃には、約4割が65歳以上になる。
しかも、その内の大半が75歳以上という、世界にも類を見ない突出した高齢化社会が待っている。


これは、仕事の為というより、日本人なら誰もが勉強しなければならない学問だと思う。




高齢者の増加による、医療・介護給付の急増、生産力の低下、税収の低下というのは、直接・間接的に私達一人一人にかかってくる課題。
例えば健康寿命をどう伸ばすかの問題についても、身体能力、認知能力の低下を可能な限り抑える「予防」という側面もあれば、それらの低下を「補う」方策も必要。


金融の世界で言えば、一番大きな問題が認知機能の低下に対するもの。
これを解決しないと、高齢者が持つ膨大な資産が有効に運用・管理されず、結果的に活用もされないまま埋もれてしまう。
「理解」「認識」「論理的思考」「選択の表明」といった、意思決定が出来なくなることによって、日常生活を守ったり、豊かにするための財産管理能力が損なわれるのである。


これを、ITでどうサポートするか、というのが興味あるところだが、例えば、最近流行りの若者に投資を促す為のAIによるロボアドバイザー。
これを、資産運用をサポートするのではなく、そのお客様らしくない取引を希望した場合には「やめさせる」という使い方。


また、最近色々と出てきたのが、データの利活用。
医療、リハビリ、救急、ヘルスケア等で入手したデータを、行政、保険、大学、研究機関、企業等で活用し、医療の向上や健康関連サービスとしてお客様に還元するのもその一つ。




ビジネスとして無限の広がりを持つことに加えて、いいサービスを開発すれば、それが自分にも還元されるこの世界。
大学では専門に研究するところが増えてきているが、企業ではまだまだ研究段階のものが多く、具体的な成果があまり出ていないように思えます。


世界の最先端にいる日本での、壮大な社会的実験が世界の未来にかかっている重要なテーマです。

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