貨幣の「新」世界史
ビットコインに代表される仮想通貨が注目されていたり、中央銀行が発行するデジタル通貨が検討されていたり、最近、そもそも「お金」ってなんだ?ということに興味があったので読んでみた。
貨幣の歴史って、なんとなく最初は物々交換から始まり、その後、石とか貝殻を媒介とする売買になって、金や銀になって、みたいなイメージがあって、これもそんなことを書いた本だと思っていたら、想像を超える面白さです。
生物によるエネルギーの交換に始まり、人間の脳が表象的思考の能力(芸術活動に必要な能力)を得たことによって、価値の対象としての貨幣を発明することが可能だったという話、売買よりも先に、借金の返済に貨幣が使われたのではないかという説、どれもこれも貨幣の本質を豊富な事例を使って教えてくれる。
面白かったのは、債務における金銭以外の義務には、贈与経済に基づくものと、市場経済に基づくものがあって、前者の説明では、日本における「恩」とか「義理」の紹介、お中元とかボーナスとか、日本特有の贈与経済の発展。
確かに、クラウドファンディングの成功を見ていると、ちょっと日本的な感じもします。
貨幣の歴史というのは、その性質である「利便性」「抽象性」「普遍性」「権力」をどんどん推し進めて行ったプロセスであり、元々は生きるために必要な資源を確保するものであったが、現代においては、特に利便性や抽象性を限界近くまで高めてきたものだと思う。
その結果、現物としての紙幣や硬貨がなくても、スマホ一つで送金も売買も貯蓄も簡単に出来る世の中になり、さらにこれが発展して、スマホなんか持たなくても、身体に埋め込まれたチップによって決済が完結出来るような時代になるのかと。
FinTechとかの「ツール」の勉強だけではなく、そのツールが扱うお金そのものの歴史からその本質を学ぶことも、重要だし面白いと思いました。
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