人工知能 人類最悪にして最後の発明
最近、クラウドでの活用や、IBMワトソンを使った適用業務、スティーブン・ホーキングによるその危険性への警告とかで、目にする機会が多くなった人工知能、所謂「AI」。
ただ、この本は、AIのような予測分析、自然言語処理、画像音声認識のレベルの話ではなく、人間の知能レベルを超えたAGI(人工汎用知能)、更にはASI(人工超知能)が、人類にバラ色の未来を与えるのか、破滅を与えるのかをテーマとしたものである。
この本を読んでいる最中に、たまたまテレビで『トランセンデンス』というジョニー・デップが主演の映画をやっていたのだが、そこでは、AI学者が自分の脳をダウンロードしてAIに移植した結果、世界中のコンピューターに接続し、豊富な資金を得て、ナノテクノロジーを使い人類には全く歯が立たない脅威となるというもの。(但し、最後は妻への「愛」によってハッピーエンドになるのだが)
これと同じようなことが実現された時に、一体人類は、このブラックボックス化されたASIを理解し、それをコントロールすることが出来るか?というと問題提起。
もしこのAGIやASIを実現出来るとしたら、それは豊富な資金を持ち、かつ欲を持った「軍事機関」か「金融機関」が一番可能性があるのではないか?という推測は面白い。(実際、軍は敵国に対して一歩でで早く武器を手に入れなければならない動機があるし、金融機関は儲けるということに対して、異常なまでの執着がある)
また、ITに関わる立場としては、AGIの要素技術として必要なプログラムにおける、遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークのような、自律的なプログラミング(=要はSEが要らない)というのは非常に興味が湧くテーマだ。
実際、この先(30年ぐらい先)、この著者が警告するように、人類が滅亡するようなことになるのか、それとも大半のAI学者が言うようなハッピーシナリオになるのかを判断するだけの知識は私にはない。
ただ、こういう最先端のテーマや、それらを支える要素技術の進化の話は、知的好奇心を満たす上では面白い一冊。
まだまだ知らないことが多すぎます。
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