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2014年9月30日 (火)

合葬

合葬



歴史というのは基本的に勝者の目線で語られるもの。
例えば中国では、王朝が変わると自分の正当性を証明する為に徹底的に旧王朝を非難した歴史書が作られる。
日本ではそこまで極端ではないにしても、やはり幕末史は勝者薩長の目線で語られることが多く、加えて坂本龍馬や高杉晋作がいかにも格好良く描かれるので、益々勝者側に偏った内容になってしまう。


当然、そういう自分も御多分にもれず(笑)


この本(というか漫画)は、大義も名分もなく彰義隊の上野戦争に巻き込まれた三人の若者の物語。
ただ徳川慶喜を守り、江戸市中を守るだけだった彰義隊が、一部の人間の新政府への不満が爆発する形で起きてしまった不幸な戦争。


そこに自分たちではどうすることも出来ず流されるように巻き込まれていく若者達とその家族。


失う必要のない命を落とした大勢の人達と、自分の身を守るためにその身柄を新政府に差し出した江戸市中の人達。


物語が淡々と進むが故に、胸にグッと来るものがあります。

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