『熈代勝覧』の日本橋
熈代勝覧−熈(かがや)ける御代(みよ)の勝(すぐ)れたる大江戸の景観。
文化二年(1805年)に書かれた、神田今川橋から日本橋までの、約760mの日本橋通りを行き交う、1671人の人、犬20匹、馬13頭、牛4頭、猿1匹、鷹2羽。
ドイツで見つかったこの絵巻、実物は12mの長さらしいが、日本橋三越の地下で17mに拡大したコピーを見ることができる。
日本橋の町並みを東側から見た構図なのだが、なんといってもすごいのが、ここに書かれている約1700人の武士の一行、行商人、振売、立売、飛脚、虚無僧、、、といった人達の表情とポーズが全てストーリーを持って書かれているということ。(というか、そういう風に見える)
あやしげな感じ、嫌がってる感じ、嬉しそうな感じ、カッコつけてる感じ、、、がちゃんとわかるように描写されているし、店先に並んでいるものも一つ一つ丁寧に書かれている。
虫眼鏡を使って丁寧に見ていくと、自分がその中にいるような錯覚に陥る。
この本がいいのは、色々な部分の拡大版を載せてくれていて、虫眼鏡でも気が付かないような細かい描写についても説明してくれること。
熈代勝覧の、全体の構図としての素晴らしさだけではなく、ディテールの素晴らしさも十二分で伝えてくれる。
しかも、当時の色々な商売についての説明を加えてくれているので、絵の紹介だけではなく、当時の町文化の紹介としても面白く出来ている。
日本橋を歩く時は、熈代勝覧を思い出しながら歩いてます。
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