日本の歴史をよみなおす (全)
20代半ばぐらいかな?
一時期はまった網野善彦を久しぶりに読んでみる。
一般的に日本の歴史では、明治維新が一つの分岐点で、それ以降急激な変化、発達、進化が起こったと言われている。
対して、著者は14世紀がその分岐点だととなえる。
口語を伝えるカタカナに対して、紙に書いて人に伝えることを前提とした平仮名の普及。
貨幣の流通とそれに伴う金融の発達。
現代の価値観からは想像もつかない女性の奔放さと地位。
その中でも一番面白いのが、所謂「差別」の始まりとして、穢れを扱う人達への畏怖から、賤視への移り変わり。
ここから同和問題が始まり、かつ東日本と西日本での差別感の差が出てくるくだりは、なるほどと唸らせる。
後半(2冊の単行本を1冊の文庫本にまとめてある)では、当時の「百姓」というのは「農民」ではない、という理論展開に始まり、米による年貢や、石高での報奨に惑わされている私達に対して、如何に全国に廻船や金融により富を得ていた「百姓」が多かったかという証明は、まさに網野史学の真骨頂。
こういう、視野を広げてくれる本は、必読とは言わないが面白いですね。
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