坂の上の雲(1)~(8)
今年の読書は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』から始まった。
そして最後はこの『坂の上の雲』・・・完全にNHKの戦略にはまっている。
「まことに小さな国が、開花期をむかえようとしている。」と四国松山のほのぼのとした情景描写から始まるこの本は、日露戦争の全てをここに残そうとしたのではないか?と思われるほど、国家、政府、軍隊、個人という日露戦争を取り巻く状況が克明に記されている。
明治のはじめの30年、その後の日本の100年からは想像もできないような奇跡の時代があった。
みんながまっすぐに上を見て、そこにたどり着けることを疑わず、純粋に、ある意味能天気に明るい時代。
「純粋な能力主義」と言ってしまうと、堅い感じになるが、一部での藩閥はあるにせよ意志と能力があれば、なんでも実現できてしまうような時代。
確かに幕末史も、幕府を倒して日本を守る、独り立ちさせる、という意志の強さや、同じ思いを持つ同志達との絆といった物語は面白いものだが、そこには「幕府」という圧迫によるどこか暗い感じがつきまとってしまう。
一方、維新が終わった後の、なりふり構わず一人前の国になろうとしたこの時代は、押さえつけるものがなく、どこか突き抜けるように明るい感じがするのである。
もうこんな時代はこないとわかっていても、どこかうらやましく、どこかまだ日本にも希望があるのでは?と思える大作です。
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