デッドライン
今更説明の必要もない、デマルコの一冊。
物理学の古典である『不思議宇宙のトムキンス』を模した、主人公のトムキンスが、とある国でのプロジェクトマネジメントを通して得た考えを、物語形式でわかり易く展開している。
もう6,7年前に読んだものを、なんとなく読みなおしてみたら、当時以上に面白い。
「管理は脳でやるものじゃない、腹、心臓、魂でやるものだ。」
「短期間で生産性を高める方法なんてないんだ。」
その他、プロセスの問題、残業の問題、あいまいな仕様書、プロジェクトの人数等々、初版は10年以上も前のものだが、今の時代でも未だに解決されていない問題に対する深い洞察を、万人にわかる平易な文章で表現するこの著者には本当に脱帽するばかりである。
次から次へと出てくる新しい書籍を読むだけではなく、本当の良書を何度も読み返すのことも必要と実感。(2008.9)
ちなみに、この本で「なるほど」と思った箇所は”続き”で
正しい管理の四つの本質
○適切な人材を雇用する
○その人材を適所にあてはめる
○人々の士気を保つ
○チームの結束を強め、維持する
管理は脳でやるものじゃない。腹、心、魂でやるもの
つまり・・・
心で指揮をとる
自分の腹を信じる(直感を信じる)
組織に魂を吹き込む
くだらないものを嗅ぎ分ける鼻を持つ
短期間で生産性を高める方法なんてない
プロジェクトが完成したときに達成される生産性は、先人たちの長期的な投資による成果だ
標準的なプロセスの危険な点は、人びとが賢明な省略を行う機会を失わせること
優れたプロジェクトは、デバッグに費やす時間の割合がはるかに低く、設計に費やす時間の割合がはるかに高い
プレッシャーをかけられても思考は速くならない
世界のどこかに、時間ではなく品質が目標のプロジェクトがあるかもしれない
仕様書とは、システムすなわち計画された応答のセットが、その境界のすぐ外の世界のイベントにどう反応するかを明確にする文書。
一つはシステムの応答がイベントにどのように依存するかを示すポリシーのセット、もう一つはイベントや応答がシステムの境界を超えて行き来するための入出力のセット
初期の人数が多すぎると、プロジェクトは重要な設計作業を省略せざるをえない(全員に仕事を与えるため)。設計が完成する前に大勢に仕事を割り当てると、人や作業グループ間のインターフェイスを最小化できない
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント