あなたがリーダーに生まれ変わるとき

原文がいいのか、訳がいいのか、リーダーになるための心構えを平易にかつ簡潔に説いてくれる。
リーダーシップの能力を高めるレベルを、地位から人間性まで５レベルに段階分けして、そのレベル毎に、引用を用いて丁寧に解説してくれているのである。

「リーダーシップとは影響力である。」という終始一貫した考え方を元に、優先順位の付け方、問題解決、心構え、人材育成、ビジョンといったキーワードで、具体的に書かれているのだが、全体を通してみるとちょっと総花的でポイントがないような印象。

ただ、個々の章にはリーダーシップ能力を高めるためのヒントが満載で、人材育成におけるパレートの法則の適用や、仕事の優先順位の付け方、問題解決の仕方等には、なるほどと思わせるものが各所に散りばめられている。私が一番関心したのは次の文章。
「自分が抱える唯一の問題は、対処を間違えると本物の問題を抱え込むことになると認識しているリーダー。」

問題が顕在化する前に嗅ぎ付け、問題探しをして、情報を集めて、信頼できる仲間に相談して、問題を明らかにして、使える資源を確認して、意思決定をする、というプロセス。無意識にやっていることを、ここまで具体的に定義してくれた文章に出合ったことはなかった。

個人的には、所々に出てくる詩がじゃまな気がするが、リーダーになるための勉強をしている方には、一度は読んでおいた方がいい良書である。（2007/4/22）