リスク 神々への反逆
「リスク」とは何か?を知る上では必読の一冊ではないだろうか。
確率という概念のなかったギリシャ時代に始まり、数字や代数学の発明を経て、賭博、計測、統計学、保険、ゲーム理論、分散投資、デリバティブ、、、と過去の天才、英雄たちの歴史物語を中心に置き、意思決定に関する確実性・不確実性を、それぞれの時代がどう捉えていたのかを教えてくれる。
ただ、上巻と下巻では読む人によっては、面白さが随分と異なるのではないかと思う。
上巻は20世紀に入るまでの歴史的な側面が強く、現代のようなリスク管理の発達していなかった時代において、人々が未来をどう捉えていたのかという、要は「何もなかった時代」の天才たちによる発明の物語として、非常に面白い内容になっている。
一方、下巻になると、現代の高度化されたリスク管理がどういう変遷で今に至るのかが中心になるので、私の知識レベルではちょっと難しい一方、株式市場、投資理論等の金融工学に携わる人には、今私たちが使っている理論の直接的な背景を知ることが出来て、上巻とはまた違った面白さがある。
そういう意味では、自分の興味の対象に応じて、上巻・下巻のどちらかだけを読んでも十分に面白いのではないだろうか。(2007/2/27)
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