2021年8月14日 (土)

両利きの経営

両利きの経営


『イノベーションのジレンマ』の方がバイブル的な扱いをされているような印象があるけど、こっちの方がより実用的で面白いかな?
「知の探索」と「知の深化」
2つの概念をバランスよく採り入れるのが両利きの経営、、、という書籍の内容は色んなところで紹介されているだろうから省略。


例えばITの世界では、ガートナー社が提唱している「バイモーダルIT」という概念がある。
モード1(守りのIT、侍)とモード2(攻めのIT、忍者)という2つの流儀の両方を柔軟に選択できるようにする必要があるというもの。


昨今ではDX=デジタルトランスフォーメーションという言葉が流行りで、ただの事務処理のシステム化も「デジタル化だ〜!」と言う人もいれば、本質的なことは何もわかってないのに、全てをモード2にすることが必要みたいなことを声高々に言う人がいる(会社の中に本当にいる・・・)


そうじゃないんだよね。


システムがサポートする業務の特性に応じて、モード1で確り守らなければならない領域もあれば、デザイン思考やアジャイルでガンガン進めていかなければならない領域もある。
それらを適切に選択して実行出来るコンピタンスを持つことが重要なんだよね。
両利きの経営も同様で、会社が全部「知の探索」をすればいいとは言ってない。


あと、人材育成の観点から言うと、知の探索とかモード2って、組織の中の宝の持ち腐れを発掘してビジネスに活かすことにも繋がると思ってる。
会社の中には、まだまだ色んな人材が眠ってると思うんだよね。

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2021年8月13日 (金)

氏名の誕生

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)
歴史が好きで色んな本を読んできたけど、例えば江戸古地図を見てても、なんでこんなに「松平」という名前が多いのかもわからず、古文書だと「源」とか「藤原」とみんな書いてあるのかもわからず。。。(書籍で名前が出てくる時には、松平も源もついてないし・・・)

なんとなく気になるまま放置していた疑問が、この一冊で全部解決!

現代で言うところの「氏名」、武士や百姓の「名前」(苗字+通称)、「姓名」(姓、尸(カバネ)、名乗)の構成、武士と百姓・町民の氏名に対する考え方の違い、明治維新の際の、武士と公家の考え方の違い、それらを踏まえて現代の氏名がどのように出来上がったのかがよくわかる。

例えば、氏名=大隈重信
名前は大隈八太郎(苗字+通称)
姓名は菅原朝臣重信(姓+尸+名乗)

氏名の構造、構成を知るのも面白いのだが、明治維新後の氏名に関する混乱はもっと面白い。
こんな紆余曲折を経て、今の私達の所謂「名前」が出来上がっているのですね。

 

 

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2021年8月12日 (木)

もしも徳川家康が総理大臣になったら

ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら


おっもしろい(笑)


現時点での2021年ナンバーワン


総理大臣=徳川家康
財務大臣=豊臣秀吉
経済産業大臣=織田信長
官房長官=坂本龍馬


というだけで大笑いなのだが、日本史に興味がない人でも小説として面白いように出来ているし、日本史に詳しい人ならもっと面白く読める。


ストーリーとしてはツッコミどころ満載なんだけど、所々ビジネス書としてはっとさせられるような台詞が出てくる。
トップに立つ人間が取るべき振る舞いだったり、家康と他の武将との関係が上下関係ではなく役割分担として捉えられていたり、いかにシンプルで純粋であることが大切かという話だったり。


コロナ禍での政治のあり方を題材にしているけど、「ビジネス小説」と謳っている通りビジネスにおける忖度なくシンプルに考え行動することが重要だと教えてくれます。

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対話型OJT

対話型OJT 主体的に動ける部下を育てる知識とスキル


昔から「長屋の子育て」というのを提唱してたんだけど、今一つスローガンにとどまってて具体的な施策がないまま、2020年の新人が配属される時にはコロナ禍で何も配慮が出来ないまま受け入れ。


その反省を活かして、2021年は事前に色々と準備。


この本にあるネットワーク型OJTでも、それぞれの役割と具体的な行動を定義して、それ以外にもいくつかの施策のヒントを得て。
それ以外にも、若手の力を借りてとにかくコミュニケーション企画を打つ。
インタビュー、交流会、ゲームと盛りだくさんにイベントを設定して、2020年よりは早く新人が馴染める環境を作れたかな?


リモートワークが当たり前となった今の時代、いかに早く職場に馴染ませて、オンラインでもコミュニケーションを円滑に取れるような環境を作るか。
コロナ前とは違う発想が必要な時代になったけど、たくさんの示唆をこの本からもらいました。

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2021年7月 5日 (月)

BTS オン・ザ・ロード

BTS オン・ザ・ロード


BTS沼にはまっていくメカニズムを、ちょっとだけ学術的に語った本。
初めてYouTubeで『Dynamite』を見た時、当然メンバーの名前も知らなければ、その識別も出来なかった。


関連動画で自動的に再生される動画を見てると、ジャニーズとは桁違いのダンスと歌のうまさに、なんとなくハマってきた。
そのプロセスを可視化しているのが、この本。


3つの層で構成されるトランスメディア。
第1層は楽曲とMV、第2層はメンバーの日常と成長、第3層はメンバーの人生。
最初は単純に曲を聴いてダンスを見てるだけから始まり、本人と役柄の境界線が微妙な『花様年華』に興味を持ち、日本のお笑い番組より面白いバラエティの動画、国連でのスピーチ、ワールドツアー、と各層を行ったり来たりしながらハマっていく。


サンパウロ公演でARMYが韓国語で大合唱しているのに驚き、Billboardで普通に1位になっているのに驚き、もうこれはサブカルチャーなんかじゃなくグローバルに活躍するアーティストで、Michael JacksonやBeatlesと比べられてもおかしくない現象なんだと気付く。


全てが最初から計画的、戦略的に進めてきたわけではなく、メンバー7人の個性を活かしながら少しずつ戦略を変えて、色々なものを取り込みながら、いつの間にかはるか遠い所まで来たBTS。


当分、目が離せません。

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2021年6月16日 (水)

東京「暗渠」散歩

失われた川を歩く 東京「暗渠」散歩 改訂版


都内の神社や文化財、建物、橋、坂、屋敷跡とか、結構いろんな所を巡ってきたけど、まだ行ってない所があった。


今は埋め立てられた川や水路は、目に見えないから行ってみようと思わないもんね。


例えば、玉川上水を作った歴史は勉強しても、四谷の玉川上水余水吐があった所を実際に見たことはないし、笄川という場所には行ったことがあっても、どこからどう川が流れていたのかは気にしたこともない。


何度も通ったことがある道が、実は暗渠だったということを知ったり、実際に行ってみると、この道(暗渠)がここに出るのか〜と水路の繋がりに驚いたり、この本をきっかけに街の楽しみ方が広がりました。




でも、昔は坂が好きで、坂を見つけると坂道ダッシュしたり上っていたのに、川の流れに沿って下っていくのが楽しいなんて、もう抗わないという気持ちの表れなのかな?

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2021年3月16日 (火)

歌川広重保永堂版 東海道五拾三次

歌川広重保永堂版 東海道五拾三次 (謎解き浮世絵叢書)


YouTubeで、東海道五十三次を自転車で行くというコンテンツをたまたま見たらこれが面白い。
東海道とか中山道を20kmぐらいずつ歩いて制覇するというのは聞いたことがあるが、自転車で一週間ぐらいかけて行くというのは、車と違って途中途中色々なところが見れるて楽しい。


ということでこの本を買ってみた。


広重の『名所江戸百景』は好きでよく眺めるのだが、『東海道五十三次』もいいですね〜
解説も、刷りの技法とかではなく、そこに描かれている人々の営みや構図の意味を中心に書かれており、絵だけではなく文章も読んでて楽しいです。
数は少ないけど、行ったことのある場所はその時に見た風景を思い出しながら、行ったことのない場所は、冒頭のYouTubeで見た映像を思い出しながら、日本橋から三条大橋まで楽しいタイムスリップを満喫しました。

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2021年2月25日 (木)

世界の「住所」の物語

世界の「住所」の物語:通りに刻まれた起源・政治・人種・階層の歴史


昔、住所を扱う仕事をしていたことがある。
それは、郵便物の送付先としての住所だった。(だから郵便番号と密接に絡んだ複雑な体系で苦労した)


この本の中に出てくるのは、疫病の広がりや感染源を把握するための住所、火事や事件の際に駆けつけるための住所、その他、徴税や逮捕のように市民が目的地を探すためではなく、政府が市民を見つけるための住所といった、さまざまな目的の住所。


そして最近では住所がないと「本人」と認められない。
住所が、ただの通り名称や家屋番号ではなくアイデンティになっていて、住所がないと素性の確かな人間だと示すことができず、色々な手続きをすることも出来なくなっている。


興味深かったのは、日本の住所は世界の中でも特異で、「通り」ではなく「街区」を基本単位としているということ。
言われてみればそうなんだけど、考えたこともなかった。
その違いに伴う考察は日本人として非常に面白い。(だから京都の住所はわかりずらいのか?と思ったりもした)




住所の歴史の中では、住所をつけられることに抵抗した歴史もあれば、住所が欲しくて戦った歴史もある。
普段は何も気にせず当たり前のように使っている住所に、色々な国や地域、人種によって色々な利用目的がある。
考えたこともないような世界に連れて行ってくれる一冊です。

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2021年1月 5日 (火)

国道16号線: 「日本」を創った道

国道16号線: 「日本」を創った道


横須賀からスタートして、横浜、町田、八王子、福生、入間、狭山、川越、さいたま、春日部、野田、柏、千葉、市原、木更津、富津。
東京湾をぐるっと囲むこの道、16号の近くに住んだことはないけど、その一部はどこかしらで通ったことがある。(イメージ的にはトラックばかり走っているような・・・)


そんな道が通る街々の歴史や文化を色々なテーマを通じて紹介しているのだが、これが意外と面白い。
郊外の住宅地、大型ショッピングセンター、米軍基地、音楽、養蚕といった近代の歴史に加えて、地質的な見方や江戸創生前後の歴史まで、幅広く扱っていて、次から次へと出てくる話がどれも面白い。


特に、八王子のユーミンを中心とした、戦後から現代に続く音楽の発展はその頃の情景が目に浮かぶようで面白い。


昔からの土地に住んでて、その土地の歴史や文化を調べたり、川や道を辿ったりするのって楽しいだろうなと、この本を読んでて思った。
明治以降の埋立地に住んでると、街に歴史がないことがちょっと寂しかったりする。

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2021年1月 4日 (月)

NO RULES

NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX


この本の楽しみ方は2通りあると思う。
1つは会社の制度や文化を作る上での参考として。
もう1つは、自分が1ユーザーとして楽しんでいるNETFLIXがどうやってこんなに面白いコンテンツを次から次へと提供しているのかの興味を満たすものとして。


多分、大半の人が最終的には後者になってしまうと思う。


例えばコントロールとコンテキストの話。
優秀ならコンテキストを共有して判断を任せる。ダメな奴はコントロールしてミスを排除する。
「ルールと手順」vs「自由と責任」も同様の話。


他にも経費承認が不要とか、上司・同僚へのフィードバックとか、面白い話が盛り沢山なのだが、そのベースにあるのは能力密度が高いというもの。
優秀な人間しか採用しない。
社内の能力密度を高める、それを維持するということが全てのベースになっているので、普通の会社では到底真似が出来ない。


最初のうちは「NETFLIXすげーすげー」と読んでいたのが、途中から「これはうちの会社では無理だな」に変わって、最後は「だからNETFLIXにはまっちゃうんだ〜」となります。


ヘビーユーザーの方は是非お読み下さい。

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